肩関節内視鏡下手術について

 

肩の関節の病気を内視鏡での手術で治療します

“肩が痛いのは年のせいだから・・・”
“野球やっているとどうしてもこうなるんだよ・・・”
ちょっと待ってください!
それ・・りっぱな病気かもしれません。
そんな症状の場合にも、大きく切らずに出来るこの内視鏡での手術は有効なんです。
以下のようなものがあります。
詳しくは、下記のメニューをクリックしてみてください。

五十肩(肩関節周囲炎)

40~60歳代の方に好発し肩痛、夜間痛や運動制限を主訴とする疾患です。明らかな外傷やきっかけがなく発症することが特徴です。発症の初期で痛みが強い時期は炎症が強い状態であり、この時期には安静と消炎鎮痛剤の投与や関節注射が必要です。 炎症が消退して筋肉や関節周囲の拘縮により運動制限が主な症状の時期には理学療法が必要となります。ほとんどの症例はこういった治療で自然経過のうちに症状は改善しますが、なかには外傷に伴う肩関節の拘縮や糖尿病に合併した拘縮では経過の悪い症例もみられます。6ヶ月以上の長期にわたる症例では手術療法を選択する場合があります。

腱板断裂

50歳以降の方に好発する疾患で、肩痛、夜間痛、運動時のひっかかりや、腕を挙げて保持していられない、力が入らないなどの訴えがみられます。転倒して肩を打ったり手や肘をついたり、また重いものを持ち上げたときなど外傷を契機として発症することが多いですが、明らかなきっかけがない場合もあります。
五十肩といわれ治療を受けておられる人のなかにも腱板断裂を認める症例があります。
3ヶ月以上続く肩痛で困っていらっしゃれば検査をお奨めします。  腱板断裂があっても自然経過で良くなる症例や、注射・運動療法が奏功する症例を多く経験します。しかしこうした保存療法を行っても効果がない症例に関しては手術を要する場合があります。
手術が必要な症例に対して、当院では低侵襲な関節鏡視下手術を行っております。従来の方法に比べ関節鏡視下手術は正常な組織への侵襲が少なく術後の回復が早いばかりか、正確な診断、修復が可能です。腱板の付着部である上腕骨にアンカーを挿入しそこに腱板断端を縫合固定します。
入院期間は1~2週間程度で、術後安静のために3週間程度装具をつけていただきます。術後経過には個人差がありますが、おおよその目安として術後3ヶ月で日常生活の動作や軽作業が出来るようになり、約6ヶ月で重労働は可能になります。

反復性肩関節脱臼

転倒やスポーツ活動中の外傷で肩関節脱臼が起こった後に、(亜)脱臼を繰り返すようになった状態をいいます。次第に軽微な外傷や寝返りなどの日常生活動作でも脱臼するようになる場合があります。これは肩関節の安定化機構が壊れたことが原因です。
すなわち肩関節内の靭帯、関節唇、関節窩の損傷があって機能不全に陥った状態です。したがって根治のためには手術による機能修復以外には方法はありません。スポーツ活動への復帰を望まれる方や日常生活にも支障がある方には手術療法をお奨めします。
当院では反復性肩関節脱臼に対して関節鏡視下手術を行っております。壊れた靭帯や関節唇を本来の付着部である肩甲骨関節窩に生体吸収性のアンカーを打ち込み、そこに組織を強い縫合糸で逢着します。
入院期間は数日から1週の間です。術後2~3週間は装具で固定をして安静を保ちますが、その後患部の状態をみながらリハビリを拡大させていきます。  術後早期の経過には個人差がありますが、約6週間で日常生活に不自由がなくなり、約3ヶ月で軽作業や簡単なスポーツ動作に復帰します。
コンタクトスポーツや投球動作など脱臼する危険の伴うスポーツへの復帰には最低6ヶ月を要します。
当院では従来の大きく切開する手術方法と比較して遜色ない成績を上げており、高いスポーツ復帰率を実現しています。

投球障害肩、野球肩

投球障害肩とは、野球の投球動作、バレーボール、テニスなどのスパイク・サーブ動作で痛みを訴える障害のことです。これらの障害は肩関節自体に大きな問題がある症例は少なく、運動連鎖といって下半身から骨盤、体幹、肩甲帯へとスムーズに運動が伝わらずその結果として肩に障害が生じている例が多いと考えられています。 よって治療の主体は運動療法であり、ほとんどの症例は理学療法で改善します。ただし関節唇損傷や腱板関節面断裂など肩関節内の損傷が原因で治療が進まない症例に対しては、手術療法を選択する場合があります。手術療法として当院では関節鏡視下手術を行っています。